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2014年06月17日 事業化プランのプレゼン

 本日、低コスト有機エレクトロニクス材料製造に関する事業化プラン(海外版)の最後の日本でのプレゼンおよびメンタリング会が川崎・NEDOで開催されました。ここに通過すると、今年の夏にシリコンバレーに行くことができるようですが、3~5チームに絞り込まれるので、狭き門です。 今回、これまで優しく接してくれた外国人のビジネス専門家の先生方が、一変、結構否定的なコメントをがんがんしてきました。シリコンバレーに行くにはそれ相応の厳しい審査があるようです。中でも、有機エレクトロニクス材料はそもそも市場が小さすぎるというご指摘は、正直つらいですね。 我々の努力が遠く及ばない世界。有機エレクトロニクス材料が市民権を得て、少しでも市場が大きくなるよう祈るばかりです。現実問題として、今ある大きな市場(材料なら無機か有機・無機ハイブリッド)でイノベーションを創出する必要があるようです。おそらく、このままではシリコンバレーに行けたとしてもVC(ベンチャーキャピタル)にも同じ指摘をされると思います。

 

 もう1点は、チームです。いいものが開発されても、お客様がいないとビジネスにならないし、お客様がいたとしてもそれをつなぐビジネスチャンネルがないとだめというご指摘。ごもっとも。実はこれが我々にとって一番重要な課題で一番難問です。世界一小さい分子量分布(D<1.05)と高度に制御された立体規則性(>98%)を持つp型半導体高分子P3HTは我々しか合成できません。誰か買っていただけないものでしょうか。

 

 工学部長のご推薦で、NEDOの事業化支援プロジェクト(日本版と海外版)に参画させていただき、いろいろ試行錯誤でやってきましたが、今の研究環境と事業化までのギャップがまだ相当あると感じています。一方で、普通では体験できない修行ができ、(おおげさですが)人生の糧になりそうです。

 

 私は大学のでしがらみの少ない環境での自由な研究と学生との関わりが好きで、許されることなら大学やそれに準ずる機関の研究者・教育者として生きていきたいと思います。それは、歴代恩師の生き生きしている姿を見てきてそう思っているのだと思います。本業の論文書きがおろそかになってきましたので、そろそろ本気で頑張ります。

 

東原